潮風に吹かれて

Goです!  海辺に住んでいます。そんなことから、このブログのタイトルを「潮風に吹かれて」としました。  映画を観ること、どこかへぶらっと出掛けること、それから山歩きすることが好きです。ブログ「潮風に吹かれて」では映画を観ての感想や山行をふくむ旅先での出来事などをネタにした記事を発信していきます。    つたない文章で読みづらいと感じられることがあると思われますが、なにとぞヨロシクです! m( _ _ )m

潮風に吹かれて

vol.10  過ぎた時間は戻らない

潮風に吹かれて

映画「ベンジャミン・バトン ~数奇な人生~

原題: The Curious Case of Benjamin Button

製作国:アメリカ合衆国

劇場公開日:2009年 2月7日(日本)

上映時間:2時間47分 監督:デヴィット・フィンチャー

原作:F・スコット・フィッツジェラル(短編小説より)

キャスト:ベンジャミン・バトン(ブラッド・ピット)

     12歳のベンジャミン(スペンサー・ダニエルズ)

     8歳のベンジャミン(チァンドラー・カンタベリー)

     6歳のベンジャミン(チャールズ・ヘンリー・ワイソン)

     デイジー・フューラー(ケイト・ブランシェット)

    7歳のデイジー(エル・ファニング)

     10歳のデイジー(マディセン・ベイティ)

     エリザベス・アポット(ティルダ・スウィントン)

     クイニー(タラジ・P・ヘンソン)

     その他……

 

解説・あらすじ 2005年、嵐が接近中のニューオーリンズ。病院で死の床に伏している老女デイジーは、娘のキャロラインに、ある日記帳を読み聞かせるように求める。その日記帳にはベンジャミン・バトンという男の人生が綴られていた。~ 1918年、バトン夫妻の間に老人のような顔をした赤ん坊が生まれた。その赤ん坊は老人ホームに捨てられ、そこを運営する女性クイニーに拾われてベンジャミンと名付けられる。ベンジャミンはクイニーが運営する老人ホームで育てられ、不思議なことに彼は年月が経つにつれて若返っていく。やがて少年期を迎えた彼は、かけがえのない存在となる少女デイジーと出会う……。~

 80歳の老人として生まれ、年を取るごとに若返る数奇な人生を与えられた男の一生を描くファンタジー・ドラマ。1922年に書かれたF・スコット・フイッツジェラルドの短編小説を基に、エリック・ロスロビン・スウィコードが脚本を執筆し、監督はデヴィッド・フィンチャーで、フィンチャー監督と主演のブラッド・ピットの2人にとっては「セブン」ファイト・クラブ」に続くコンビ作品となった。ベンジャミンの人生の伴侶デイジーを演じるのは「エリザベス」でセクシー&知的な若きエリザベスを演じたケイト・ブランシェット

 2008年の第81回アカデミー賞で3部門 ( 美術賞、視覚効果賞、メイクアップ賞 )を受賞。上映時間は167分で、話が長~い。

     

 主人公のベンジャミン・バトンは年を取るごとに若返ってゆく……。

 と、そういう奇妙な話だから突飛なエピソードが盛りだくさんの騒がしげな作品なのだろうと思っていたのに、予想に反して奇想天外のことが次から次へと起こるということはなく、始めから終わりまで物語のテンポは緩やか、そして地味な結末を迎えたので、エンドロールが流れ始めたときに思ったことは「意外と静かな映画だったな」でした。

 肉体年齢が80才くらいの衰えた身体で生まれたグロテスクな赤ちゃんベンジャミンは生後すぐに捨てられてしまうのですが、運良くその直後に拾われます。彼を拾って育てることにしたのは老人ホームのような施設で働く不妊症の黒人女性。

 で、その彼女がベッドで泣いているベンジャミンをあやしているときに「たどる道が違っても行く着くところは同じ」という場面があるのですが、映画の始めのほうで語られるこの言葉が「ベンジャミン・バトン」のテーマなのだということは観ているうちにじわじわと伝わってきます。

 ベンジャミンは死期の迫った老人から初老へ、そして中年、青年、少年へと若返ってゆき、最期は肌つるつるの赤ちゃんになって老衰して他界するのですが、その間には、普通に働いて普通に恋をして、一児のパパにもなります。

 と、自然界の法則とは逆回転の人生を歩むベンジャミンの生涯をこの映画では〝 彼の人生は普通の人と何ら変わりはなかったのです 〟というふうに描いています。

「ベンジャミン・バトン」では、彼が育った場所が老人ホームのような施設であったということもあって、何人もの人の死を淡々と描いてもいるのですが、そのことからも「たどる道が違っても行く着くところは同じ」ということは印象づけられます。〝 ああ、人それぞれに様々な生き方をしてきても皆やがて永遠の眠りに就くのだなあ 〟と……。

 つまり、この映画は〝 生まれてから死ぬまでのプロセスは人それぞれ異なるが、どんな人でも最期には死を迎える 〟ということを物語る作品なのであります。

 又、この映画は年を取るごとに若返ってゆくという超自然現象と年を取るごとに衰えてゆくという自然現象とを対比することにより、どんな生き方をしても過ぎた時間は戻らないものなのだということをやんわりと嫌味なく諭すものでもあります。

 最後に映画の内容とは関係ないことですけど、ベンジャミンを演じたブラッド・ピットは、その二枚目ぶりを披露するよりも特殊メークで老人&初老を演じている時間のほうが多かったように思われます。なので、ブラピ目当てに本作を観られようとする方はガッカリされるかも知れません。

  ※ここまではオリジナル小冊子「気ままにシネマ」収録コラム「過ぎた時間は戻ら    

   ない」をプチ修正しました。

 さて、時候の話になりますが、今年の夏は猛暑日てんこ盛りでクレイジーサマーって感じでしたね。( > _ < ; ) 9月になったらさ、少しは涼しくなるだろうと思っていたのに暑さはまだまだつづきそう……。で、残暑お見舞いです。

 では、今回これにて失礼します。\( ^ 0 ^ )

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