潮風に吹かれて
映画「アメリカン・グラフィティ」
原題: American Graffiti 製作国:アメリカ合衆国
劇場公開日:1974年 12月21日(日本) 上映時間:1時間50分
監督:ジョージ・ルーカス
脚本:ジョージ・ルーカス、グロリア・カッツ、ウィラード・ハイク
キャスト:カート・ヘンダーソン(リチャード・ドレイファス)
ジョン・ルミナー(ポール・ル・マット)
テリー・フィールズ(チャールズ・マーティン・スミス)
ローリー・ヘンダーソン(シンディ・ウィリアムズ)
デビー・ダンハム(キャンディ・クラーク)
キャロル・モリソン(マッケンジー・フィリップス)
ボブ・ファルファ(ハリソン・フォード)
その他……
映画「アメリカン・グラフィティ」主な挿入歌
- 「ロック・アラウンド・ザ・クロック」♪ビル・ヘイリー&ザ・コメッツ
- 「ジョニー・B・グッド」♪チャック・ベリー
- 「煙が目にしみる」♪プラターズ
- 「サーフィン・サファリ」♪ザ・ビーチ・ボーイズ
- 「エイント・ザット・ア・シェイム」♪ファッツ・ドミノ
- 「悲しき街角」♪デル・シャノン
- 「ヤ・ヤ」♪リー・ドーシー
- 「ペパーミント・ツイスト」♪ジョイ・ディー&スターライターズ
- 「恋は曲者」♪フランキー・ライモン&ティーンエイジャーズ
その他……
解説・あらすじ 舞台は1962年のカリフォルニア北部の田舎町。ラジオから「ウルフマン・ジャック・ショウ」が流れ始める夕暮れ時、若者たちの溜まり場になっている「メルズ・ドライブ・イン」の前に、高校を卒業したばかりのカート ( リチャード・ドレイファス ) とスティーヴ ( ロン・ハワード ) 、1学年下のテリー ( チャールズ・マーティン・スミス ) と高校を出て2年のジョン ( ポール・ル・マット ) の4人がやってくる。カートとスティーヴは、大学に進学するため、翌朝に地元を離れることになっている。4人の仲間たちは故郷で共に過ごす最後の夜を楽しむべく、それぞれの想いを胸に街へ繰り出していく……。
70年代を代表する監督の1人で、後に「スター・ウォーズ」を生み出すジョージ・ルーカスが、自身の高校時代の思い出をベースに撮った青春群像劇。将来の夢や不安をかかえる主人公の若者たちが過ごす一夜をオールディズの名曲の数々に乗せて描いた本作は、低予算で製作されたが大ヒット、更に73年アカデミー作品賞を受賞、ルーカスの出世作となった。
作中、登場人物が入り浸る「メルズ・ドライブ・イン」はサンフランシスコに実存した。本作の制作に着手した当時、「メルズ・ドライブ・イン」は既に閉店していたが、映画撮影のために再度開店させた。そして、その店は撮影終了後に取り壊された。
映画「アメリカン・グラフィティ」初公開時のキャッチフレーズは「62年 君は、どこにいた?( Where were you in ’62 )」。
1977年5月に全米公開された「スター・ウォーズ」のハン・ソロ役を演じて人気俳優の仲間入りを果たしたハリソン・フォードは、「アメリカン・グラフィティ」作中でジョン ( ポール・ル・マット ) にカー・レースの勝負を挑もうとしているボブ・ファルファ役で出演しているが、当時まだ無名だった。
今、巷では昭和に流行ったシティ・ポップが再評価されているが、私が17歳前後だった40数年前には60年代初頭にアメリカで流行ったロックやポップスがちょっとしたブームになり、その頃の原宿のホコ天は、竹の子族のほかに、リーゼント頭に黒い革ジャンやポニーテールに水玉模様のスカートといった姿でロックンロールを踊るローラー族で溢れていた。そんな1980年前後に、東京のどこだったかの名画座で「アメリカン・グラフィティ」が他1本の旧作映画とリバイバル上映されていて、そのときに私は映画「アメリカン・グラフィティ」を初めて観た……と記憶している( 40数年も前のことなのでハッキリとは覚えていない )。
映画「アメリカン・グラフィティ」を初めて観たのは、いつ、どこでだったかはうろ覚えであるが、その作品を初めて観たときの胸のときめきはハッキリ覚えている。40数年前に17歳前後だった私はディスコにハマっていたが、当時のブームに乗って、アメリカ60年代初頭に流行ったロックンロールもディスコ・サウンド同様に好んでよく聴いていた。と、そんなこともあり、タイトルバックの「ロック・アラウンド・ザ・ロック」から始まる「アメリカン・グラフィティ」の映像世界に、私はのっけから心を鷲づかみにされた。人気DJウルフマン・ジャックの軽快なトーク、ネオンがきらめくお洒落でクールなドライブイン、カスタム・カーが疾走する夜の街、若者たちが熱狂するダンスパーティー、ハートを揺さぶる数々のヒット曲……遊び盛りのティーンエージャーを魅了するものが散りばめられている「アメリカン・グラフィティ」、17歳前後でどこかの名画座で初めてその作品を観た私、すんなり映画に没入しちゃったもんね 。
映画「アメリカン・グラフィティ」、それを初めて観たとき、私はオープニングから楽しい気分に浸っていたが、エンドロール直前で切なさを感じさせられた。映画の終わり間際、主要登場人物4人のそれからの人生がテロップ形式で示される。その4つの内の2つが「ジョンは酔っ払い運転の車との事故により死亡」や「テリーはベトナムで戦闘中に行方不明」というようにアンハッピーな知らせ、それでしゅんとなって暗い気持ちに包まれたのだった。1962年のカリフォルニア北部の小さな町で巻き起こる弾けるような一夜を描く「アメリカン・グラフィティ」は、様々なエピソードを通して甘味な過ぎし日々をスクリーンに甦らせるだけでなく、主要登場人物4人のその後を最後に告知することで、やがてアメリカが厳しい時代へと突入して行くことをそれとなく浮かび上がらせている。
そんな映画「アメリカン・グラフィティ」作中で私の目に特に輝いて見えた登場人物は、ダンスパーティーへ向かう途中で白いサンダーバードに乗ったブロンドの美女を見かけて一目惚れするカート。なぜかっていうと、チラッと見ただけで好きになったり恋に落ちたりするってことは、ままあることで、ありきたりのことなんだけど、白いサンダーバードのブロンド美女を追って奔走するカートの姿は青春期を象徴する衝動の一つをストレートに表現している、そんなふうに思えたからでした。
さて、それでは「Goです! の“ 昭和あの日に帰りたい ”」のコーナーではなくて、今回、映画コラムの後にアップするのは、400字詰め原稿用紙5枚くらいの「今こそガッツだぜ!」っていうショートエッセイです。どうぞよろしかったら目を通してください。
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